コラム8  おじさんと犬

 昨今、本当にペットブームだ。

ペットショップも増えたし、ドッグカフェ(犬同伴のカフェ)もよく見かける。

犬に着せる洋服もあちこちで売っていて、値段は子供服と変わらないほど高い。

散歩用のレインコートもあるし靴もあるし、犬用の傘まである。

犬の美容室も盛況のようで、相場は1回に4000円位だそうだが、

それって男性の髪をカットするのと同じか高いくらいだ。

毛を染めることも出来るそうだ。

餌もたくさんの種類があるようだし、犬用のクッキーは人間でも食べられそうな出来である。

飼い主にとっては家族同然なのは言うまでもない。

我が家は飼うことができないので、ペットショップで眺めたり、知り合いの家で買っている犬をいじっては、

「飼いたいなあ」と思うのである。

先日もペットショップで犬を見ていたら、そのペットショップ内にある犬の美容室で、

シーズー犬が毛の手入れをしてもらっていた。

ドライヤーで丁寧に仕上げをしてもらった後、作業服を着た、いい年のおじさんがお店に入って来た。

「ミミちゃんかわいくなりましたよ」

とお店の人が言うとそのおじさんは満足そうにお金を払って出て行った。

そのペットショップはホームセンター内にあって、ちょっとした家具も置いてあるが、

おじさんは家具コーナーに犬を抱いて行ったかと思うと、大きな鏡に向かって満面の笑みで犬を抱き上げ

「ほーらミミちゃん、かわいいねえ、良かったねえ」

と犬とツーショットで鏡に収まって喜んで見ている。

作業服のおじさんは、犬にはお金をかけるけど、自分には全くかけていない様子で、

髪もボサボサの疲れた初老のおじさんで、

そのおじさんが、ピンクのりぼんをつけた、きれいな毛のシーズー犬と並ぶ姿はとても面白かった。

おじさんは何よりも大事な我が犬がきれいになって本当に嬉しいのだろう。

何ともほほえましいような滑稽な風景だった。

Mistress  Boo

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